COLUMNコラム

ホワイトニングって本当に効果があるの?歯科でやるべき?それとも自宅でできるの?

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの違いとは

オフィスホワイトニング

歯科医院で実施されるホワイトニング施術で、高濃度の過酸化水素を含む特殊な薬剤を使用します。この薬剤を歯の表面に慎重に塗布した後、専用の強力な光を照射します。光の作用により、薬剤の漂白効果が活性化され、歯の内部に浸透した色素を効果的に分解します。この過程で歯の色調が明るくなり、自然な白さを取り戻していきます。

ホームホワイトニング

ホームホワイトニングは、自宅で実施できる歯の美白法です。まず歯科医院で個人の歯型を採取し、それに基づいてカスタムメイドのマウスピースを作製します。患者は専用のホワイトニング剤をこのマウスピースに注入し、指示された時間、通常は就寝時や日中の数時間、装着します。この過程を毎日継続することで、徐々に歯の色が明るくなっていきます。

ホワイトニングを行うと、歯はどの程度白くなるの?

歯の変色は、日常生活で摂取する様々な物質が原因となります。特に、コーヒーや紅茶に含まれるポリフェノールという色素成分が主な要因として挙げられます。また、喫煙者の場合はタバコに含まれるタールも歯を黄ばませる大きな原因となります。これらの色素成分は時間とともに歯の表面に蓄積し、徐々に付着していきます。その結果、歯の表面に「ステイン」と呼ばれる着色が形成され、最終的には歯全体が黄色みを帯びた外観になってしまいます。この現象は一般的に「着色汚れ」と呼ばれ、多くの人が悩む歯の美観問題の一つです。

歯の変色は、加齢による自然な過程でも進行します。年を重ねるにつれ、歯の表面を覆う半透明のエナメル質が徐々に薄くなり、内部の黄色みを帯びた象牙質が露出してきます。この現象により、歯全体が黄ばんで見える内部性の変色が生じます。一方で、美白への希望は高まっており、特に芸能人のような輝く白い歯を目指す人も増えています。そのような場合、歯科医院で行う専門的なオフィスホワイトニングを適切に実施することで、劇的な白さを実現することが可能です。

ホワイトニングによる歯の美白メカニズム

ホワイトニング剤の主成分である過酸化尿素や過酸化水素は、歯の表面に付着した着色物質を化学的に分解し、無色透明化する働きがあります。これにより、表面的な汚れが除去され、歯の見た目が白くなります。さらに、これらの成分は歯の内部まで浸透し、歯質内部に存在する色素分子も分解する能力を持っています。この作用により、歯の本来の色そのものを明るくする「ブリーチング効果」が得られます。

年齢を重ねるにつれて進行する歯の変色に対して、ホワイトニングは「マスキング効果」と「ブリーチング効果」という二つの作用で対応します。マスキング効果は、過酸化水素がエナメル質の表面構造を変化させる現象を指します。具体的には、エナメル質の結晶構造が角状から球状に変わることで、光の散乱が促進されます。この変化により、エナメル質が曇りガラスのような性質を帯び、結果として歯が白く見える効果が生まれます。

白くなりにくい歯の特徴

ホワイトニング処置の効果には個人差があり、顕著な改善が見られる人もいれば、期待したほどの効果が得られない人もいます。この効果の違いは何に起因するのでしょうか?

・フッ素(フッ化ナトリウム)コーティングをしている

近年、フッ素配合の歯磨き粉が注目を集め、市場に多様な製品が登場しています。フッ素には、エナメル質を強化し、虫歯菌が産生する酸に対する耐性を高める効果があります。しかし、この保護作用が逆効果となる場面もあります。特にホワイトニング処置を行う際、フッ素によって形成された保護層が、美白成分の歯への浸透を妨げる可能性があるのです。そのため、日頃からフッ素入り歯磨き粉を使用している人や、歯科でフッ素コーティングを受けた人は、ホワイトニングの効果が期待通りに得られないケースがあります。

・着色成分が強くこびりついている・歯垢がある場合

歯の表面に蓄積した着色物質が多い場合、ホワイトニングの効果が期待通りに現れないことがあります。また、歯垢(プラーク)の存在も、ホワイトニング剤の歯への浸透を妨げる要因となります。特に歯石が形成されている状態では、美白成分が効果的に作用しにくくなります。そのため、最適なホワイトニング結果を得るためには、事前の準備が重要です。具体的には、ホワイトニング処置を開始する前に、専門的なクリーニングや歯石除去を歯科医院で受けることをお勧めします。

ホワイトニングができない人もいる

ホワイトニング処置の効果には個人差があり、期待通りの結果が得られにくい人がいる一方で、そもそもホワイトニングが適していない、あるいは推奨されない人々も存在します。

・歯に詰め物をしている人

歯に詰め物がある場合、その部分は美白効果を得られません。ホワイトニング剤は天然の歯質にのみ作用するため、人工物である詰め物の色は変化しません。また、永久歯が完全に生えそろっていない子どもや若年者には、通常のホワイトニングは推奨されません。さらに、象牙質形成不全など特定の歯の状態や疾患を持つ人々にも、一般的なホワイトニング処置は適していません。

・歯の神経が死んでいる人

生きた神経を持つ歯と、根管治療を受けた歯では、それぞれに適したホワイトニング技術が存在します。歯の状態を正確に把握せずに不適切な方法を選択すると、期待した美白効果が得られないだけでなく、歯の健康を損なう可能性もあります。そのため、ホワイトニングを検討する際は、必ず歯科医師による専門的な診断と助言を受けることが重要です。

・妊娠中および授乳中の女性

妊娠中や授乳期の女性には、ホワイトニング処置を避けることが推奨されています。この慎重な姿勢の背景には、ホワイトニング剤が妊婦や胎児、また授乳中の乳児に及ぼす可能性のある影響について、現時点で十分な科学的知見が得られていないという事実があります。ホワイトニング剤に含まれる化学物質の安全性が、これらの特殊な状況下で完全に確立されていないため、潜在的なリスクを避けるべきとされています。

・無カタラーゼ症の人

無カタラーゼ症の患者にとって、ホワイトニング処置は禁忌とされています。この遺伝性疾患では、カタラーゼという重要な酵素が欠如しています。通常、カタラーゼは体内で過酸化水素を分解する役割を担っていますが、この酵素がない場合、ホワイトニング剤の主成分である過酸化水素を適切に代謝することができません。その結果、過酸化水素が体内に蓄積し、潜在的な健康リスクを引き起こす可能性があります。

過酸化水素は、人体内で自然に生成される物質です。通常の状態では、カタラーゼという酵素が迅速に過酸化水素を分解するため、健康上の問題は生じません。しかし、高濃度の過酸化水素が長時間体内に留まると、組織に対して酸化ストレスを引き起こし、最悪の場合、細胞や組織の壊死を招く危険性があります。

ホワイトニングの効果持続期間は?

ホワイトニングの効果持続期間は、施術方法によって異なります。一般的に、ホームホワイトニングは約1年間、オフィスホワイトニングは3〜6ヶ月程度、ポリリングホワイトニングは約6ヶ月ほど白さが持続すると言われています。

ホワイトニング効果の持続期間は、日々の口腔ケア習慣に大きく左右されます。適切な頻度と時間での歯磨き、食事や喫煙に関する注意深い管理など、施術後の自己ケアが重要な役割を果たします。歯科医院で行われるプロフェッショナルクリーニングやPMTC(専門的機械的歯面清掃)は、歯の表面を丁寧に清掃し、新たな着色を防ぐため、ホワイトニング効果をより長期間維持するのに役立ちます。

まとめ

ホワイトニングには多様な手法が存在し、それぞれ特徴が異なります。表面の着色を除去するクリーニングから、歯の内部まで作用するオフィスホワイトニングやホームホワイトニングまで、選択肢は幅広くあります。最適な方法は、個人の生活様式、目指す白さの程度、そして歯の現状によって変わってきます。使用する薬剤や施術方法も、これらの要因に応じて適切に選択される必要があります。効果的な歯の美白と、その効果の長期維持を実現するためには、自分に最も適したホワイトニング方法を選ぶことが重要です。歯科医師との相談を通じて、個々のニーズと状況に合わせたカスタマイズされたアプローチを見つけることで、満足度の高い結果を得ることができるでしょう。

歯の表面に新しく付着した着色物質は、歯科医院での専門的なクリーニングで効果的に除去できます。定期健診を受けることで、虫歯や歯周病などの早期発見・予防が可能となり、口腔全体の健康維持につながります。

この記事の監修者
この記事の監修者

浅井延彦

上荻歯科医院 院長

日本歯科大学を卒業し、上荻歯科医院の院長を務めている。豊富な知識と経験を持ち、日本口腔インプラント学会、顎咬合学会、日本メタルフリー歯科学会に所属し、最新の歯科医療技術の研鑽に励む。

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